「春の呪い」実写化に思う事。
どうも、ヲカベです。
ジャスミン茶に激ハマリしています。
いつから日本では「実写化」という言葉に畏怖を覚えるようになってしまったのか…
好きだった漫画が、沢山の人に読まれるかもしれないという喜びも
その後スクリーンやテレビに映し出されるキメラのような映像への怒りに上書きされてしまう。
「最高の原作、どこへ行った?」
「・・・君のような勘のいいオタクは嫌いだよ」
さぁ、今度は吉報になるか?それとも…
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『春の呪い』実写ドラマ化決定!
『最愛の妹を亡くした主人公が恋したのは、妹の婚約者。禁断の恋に揺れる姉、妹の婚約者で財閥の御曹司である青年、恐怖の幻影として姿を現す妹という、複雑な想いが渦巻く奇妙な三角関係が描かれる。』
情報解禁されたニュースサイトにはこんな作品紹介が。
原作を読んだ人は恐らく言いようのない違和感に襲われているだろうと思う。
「禁断の恋」「財閥の御曹司」「恐怖の幻影」
なんとも興味を引くワードであり、ドラマ化に都合の良い強い言葉に感じる。
「春の呪い」について少し。
小西明日翔 先生の商業誌デビュー作で、全2巻
「このマンガがすごい!2017」で「オンナ編」第2位にランクインした人気作。
ヲカベは小西先生の「来世は他人がいい」という漫画が大好きで、
「こんなに面白い作品の作者のデビュー作、読まなきゃ!」と逆順で読んだ経緯がある。
来世は他人がいい、現4巻まで既刊が発売され脂がのりに乗っているので
またどこかのタイミングで思いのたけをぶちまけたいが、今回は違うものをぶちまけねばならない。
『妹が死んだ。名前は春。まだ19才だった。
妹が己のすべてだった夏美は、春の死後、家の都合で彼女の婚約者であった柊冬吾と付き合うことになる。
夏美は交際を承諾する条件として、冬吾に、春と二人で行った場所へ自分を連れて行くよう提示した。
そうして、妹の心を奪った男と夏美の季節は巡り始める――。』
これは別サイトに春の呪いの紹介文として掲載されていた文章だが、
ドラマ紹介文と読み比べてもらうと幾分かニュアンスが違うのが分かる。
ドラマの方では「主人公」が能動的に禁断の恋にはまっていくように読み解ける。
「この人のこと、好きになっちゃいけないのに…この胸の高鳴りは何!?」である。
三角関係という言葉もいかにも昼ドラのような艶を帯びた言葉だ。
一方、原作の紹介文を読み解くのであれば
死んでしまった妹の残り香にすがるように、婚約者と付き合う形でその足跡を追う。
そんな風に解釈できるし、読了している方ならうまくまとまっていると納得いただけるだろう。
春の呪いという作品は、基本的に「何も起きない」物語である。
死んだ妹は生き返らないし、幽霊になって出てくることもない。
御曹司は金に飽かせて事態を解決しないし、メイドを連れていることもない。
「妹」の死を媒介にして
自分を押し殺して生きてきた「主人公(姉)」と「婚約者」が
支えあえる相手と出会い共に過ごす未来を見つけることを「呪い」と呼ぶ
非常に美しい物語なのである。
人生に奇跡はないし、挽回もない。
背負った物は降ろさないように、前へ進んでいくのだということが描かれている。。
そんな風にヲカベは考えている。
ドラマ化にあたって、その精神描写をないがしろにしてほしくはないし
安易に「禁断の三角関係」のようなドロドロに舵切りしないでもらいたいなぁ・・・
髙橋ひかるさんはリトルトゥース同胞としてとても大好きな女優さんで、
この配役も似合っているし初主演ということで記念すべき実写化になってほしい!
だから、だから、、、美しく、仕上げておくれ!監督様!!
…あぁ…ダメかも…
公開を、座して待て!